シンドウ マサヒロ
真銅 正宏 所属 追手門学院大学 学長 職種 学長 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2023/09/30 |
形態種別 | 著書 |
標題 | 異界往還小説考 |
執筆形態 | 単著 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 図書出版みぎわ |
総ページ数 | 205 |
概要 | 近代小説は多種多様で、一見すると混沌の中にあるかのように思える。しかしながら、極限まで構造分析するならば、やはりそこにも、いくつかの原理が存在し、その原理が、小説、ひいては文学なるものの本質を照射してくれる可能性がある。さらには、我々読者の興味の在処、その心象なども、ついでに明らかにしてくれるかもしれない。その原理に基づく構造が、昔話に典型的に見られる、異界往還の構造である。そもそも読書行為自体が現実から異界への往還であり、さらにそこで読んでいる物語内容も現世と異郷との往還の物語であるならば、この二重性が、明確に文学の性格を指し示していると言えるであろう。付け加えておかなければならないのは、この私の興味が、異界そのもの、異郷そのものや、現実界と異界との境界に向けられたものというよりは、異界と現実界とを往還すること自体、すなわち往還という行為に、より強く向けられているという点である。我々が文学に惹かれ、小説を読みたく思うことの根本原理を明らかにすべく、近代小説のあらゆる作品に、異界往還の構造を指摘し、近代小説のもう一つの読み方を提案する。 |