シンドウ マサヒロ
真銅 正宏 所属 追手門学院大学 学長 職種 学長 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2023/03 |
形態種別 | 紀要(First author) |
標題 | 都会のざわめき |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 人文学紀要 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 追手門学院大学文学部 |
巻・号・頁 | (85)61-(98)74頁 |
総ページ数 | 14 |
著者・共著者 | 真銅正宏 |
概要 | 小説の中に流れる音の代表的なものに、風景描写に伴う音がある。小説の冒頭は、人物描写か、風景描写から始まることが多い。その際の風景描写を効果的なものとするために、音が用いられることも多い。例えば、電車が街中を走り始めた時代において、この身近ながらかなり強大な危険物に関わる音が、都会の音風景に大きな存在感を占めていたことは容易に想像できる。もちろん、噪音以外にも、都会には様々な音が流れている。考えてみれば、明治から昭和中頃あたりまでの日本家屋は、今以上に木と紙でできたものが多く、今より外の音が聞こえ、家の音が外に洩れたであろう。日本の家の西洋化は、音の遮断の歴史であったと云うこともできるかもしれない。そうなると、近代の初め頃から、家の内外での音の交感は、次第に薄れていったことが想像される。このことが、小説における音の風景描写にも影響を与えていることは確かであろう。そして我々は、時代が経つにつれ、街の音に鈍感になっていったようなのである。 |