シンドウ  マサヒロ
  真銅 正宏
   所属   追手門学院大学  学長
   職種   学長
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2022/03
形態種別 紀要(First author)
標題 自然の響き
執筆形態 単著
掲載誌名 国際教養学部紀要
掲載区分国内
出版社・発行元 追手門学院大学国際教養学部
巻・号・頁 (第15号),98(37)-84(51)頁
総ページ数 15
担当区分 筆頭著者
著者・共著者 真銅正宏
概要 文学の中に描かれた自然の音について、日本近現代文学作品の中にその用法を求め、その特徴を探る。自然の音の中で、我々が耳にする最も身近で、最も印象的な音は、動物の鳴き声であろう。とりわけ鳥の声は、音も大きく、また特徴的なものが多く、日常生活の中で気づき易く、聞き分け易いものであろう。そのために、古来、日本の文学作品の中にも多く書き留められてきた。古今集の藤原実定の「ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる」などである。この鳥の声への注目は、近現代文学の中にも引き継がれている。一方、家で飼われている犬や猫、また牛や鶏などの家畜の鳴き声については、自然の響きとは言い難い。しかし、それらが彼等の本能の声ならば、自然の響きとすることも不可能ではない。また、虫の声の多くは、雨とほぼ等価に、季節を示す記号として機能していたのである。さらに、海や川の水の音、雨の音、風の音、野の音についても用例を挙げ、自然を描写することは、時に、相対的に人間存在を小さなものとする。逆に云えば、自然の響きに耳を傾けるとは、人間が自らを客観視する、より大きな視点を導入する一つの方法として機能するものなのかもしれないと結論付けた。