シンドウ マサヒロ
真銅 正宏 所属 追手門学院大学 学長 職種 学長 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2020/03 |
形態種別 | 紀要(First author) |
標題 | 開巻の音 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 国際教養学部紀要 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | (13),122(1)-112(11)頁 |
総ページ数 | 11 |
概要 | 五感のうちでも、音や音楽などの聴覚要素は、小説などに表象されることが多い要素である。描写の一部として、音についての表現は、多岐にわたる。おそらく、聴覚が、視覚を補完する最も馴染みある感覚だからであろう。一方、小説は文字だけで構成される芸術である。そこには映像も音もない。ただ文字から読者が自らの想像力を駆使してそれらを再現する。何かを再現するための体験が、個々の読者によって異なるという事実が、読書行為の一般化を拒む。音の再現をめぐる一連の研究は、この読書行為の仕組について、音を対象に、その小説における表現を広く収集し、原理的に不可能な伝達の可能性を、できうる限り一般的なものへと引き上げようとした、作者たちの方法的な努力の跡を追い、小説における工夫の類型を見ようとするものである。本稿では特に、小説の書き出しにおいて書き込まれた音について探究する。そこには、作者の方法的な努力を集約的に指し示す可能性が高いからである。 |