シンドウ マサヒロ
真銅 正宏 所属 追手門学院大学 学長 職種 学長 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2016/01 |
形態種別 | 紀要(First author) |
標題 | 宮本輝「骸骨ビルの庭」の中の三つの時間 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 国際教養学部紀要 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 追手門学院大学国際教養学部 |
巻・号・頁 | (9),112(1)-100(13)頁 |
総ページ数 | null |
概要 | 宮本輝「骸骨ビルの庭」には、主に三つの時間が設定されている。一つ目は、日記の著者八木沢省三郎の現在時。二つ目は、それから一〇年ほど以前に、この八木沢が「骸骨ビル」で暮らした三ヶ月余りの期間である、平成六年前後。そしてもう一つが、いわゆる「戦後」、つまりこの小説のもう一人の主人公阿部轍正が、「骸骨ビル」で暮らし始めた昭和二四年から、昭和三五年くらいまでの時代である。これらの三つの時間の重層と、日記形式であること、さらには、主要な登場人物の思い出話が、八木沢の聞書として挿入されていることとが、外形としてこの物語を形成しているために、この小説は、他の小説とはやや異なる印象を読者に与えている。これがこの小説の時間的側面における特徴である。舞台である十三は、梅田にも近く、大阪の一部でありながら、淀川を渡った先にあり、阪神間の入り口でもある。阪神・淡路大震災の際にも被災した土地である。本稿は、この、いわば大阪の周縁に位置しながら、「いかにも」大阪らしいとされる土地を、三つの時間を設定した上で、殊更に描くことの意味を、大阪の食べ物文化との関連から探るものである。 |