ハヤシ ユウキ
  林 勇樹
   所属   追手門学院大学  社会学部 社会学科
   追手門学院大学  大学院 現代社会文化研究科 現代社会学専攻
   職種   講師
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2025/03/24
形態種別 紀要(First author)
標題 生成 AI を活用した卒業論文執筆支援システムの開発
執筆形態 代表編著
掲載誌名 追手門学院大学社会学部紀要
掲載区分国内
出版社・発行元 追手門学院大学社会学部
巻・号・頁 19,47-69頁
担当区分 筆頭著者
著者・共著者 林勇樹、上石圭一
概要 本研究は,教員一人あたりの学生数(ST 比)が高い大学環境における卒業論文指導の効率化を目的として,生成 AI(GPT-4)を組み込んだ執筆支援システムを開発・導入し,その有用性と課題を検証したものである.従来,卒業論文の指導では文法修正や引用形式の確認など,形式面での添削に時間が取られ,研究の本質的な議論に割ける時間が十分に確保されにくいという問題があった.本システムは,学生が段階的に章立て・推敲を進める過程でリアルタイムに AI からコメントを得られるよう設計し,誤字脱字や文体統一,論理の飛躍などを指摘する.一方で,研究テーマの選定や考察の深掘りといった学術的思考の核心部分は学生と教員の対話に委ねることで,「教員の添削負担軽減」と「学生の学習効果向上」を両立する設計を追求した.学生が本システムを利用して卒業論文を作成した際に AI が提供したコメントログを解析した結果,誤字脱字などの形式的な問題は早期に解決される一方,論理・考察面やデータの引用整理など追加作業が必要な項目は未解決や部分的な修正に留まるケースが多いことが確認された.また,教員による研究の核心部分の指導が十分に行われている学生ほど,AI からの提案を積極的に活用して論文全体を洗練させている傾向が示唆された.本研究は,ST 比の高い大学・学部における卒業論文必修化を継続しながら,教育の質保証を図るうえで,AI を活用した執筆支援環境の整備とその有効な活用法を提示するものである.