モリタ タケヒコ   Morita Takehiko
  盛田 健彦
   所属   追手門学院大学  大学所属
   職種   教授
研究期間 1998~1999
研究課題 確率論および複素解析に現れる古典力学系のエルゴード理論的手法による研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
研究機関 東京工業大学
研究者・共同研究者 盛田 健彦,志賀 啓成,内山 耕平,志賀 徳造,仲田 均,白井 朋之,伊藤 秀一
概要 複素解析に現れる双曲的リーマン面上の測地流やタイヒミュラー空間におけるこれの類似物などは,古典力学系とくにハミルトン力学系に分類されるが,決定論的な力学系であるにもかかわらず,その時間発展は極めてランダムであることが知られている.一方,このような決定論的な現象のなかに見られる確率現象と古くからかかわってきた分野の一つが代表者が専門としているエルゴード理論である.本研究の目標は確率論,力学系,複素解析の各分野の専門家を構成員とする研究組織によって,様々な古典力学系に見られる内在的な確率現象を,ランダムウォークやブラウン運動のような純粋に確率論的な対象のもつ漸近挙動と比較し,熱力学形式などの統計力学の方法で解析しようというものであった. 具体的な成果については,まず,複素力学系の方面において,有理半群(有理写像で生成された半群)のリーマン球面への作用を,ランダムな繰り返しと関連した歪積のかたちまで一般化しても,ジュリア集合のハウスドルフ次元の評価が得られることが,角によって得られた.タイヒミュラー理論とのかかわりでは,志賀(啓)らによって,必ずしも解析的に有限でないリーマン面の場合についても,写像類群の作用が離散的となることの条件が見い出された. 数論と複素解析に関連した力学系について仲田らは,弱い意味での正規数の概念を定義し,正規数全体が正規連分数の正規数全体を真部分集合として含むことを示した. 志賀(徳),内山,白井はLyapunov指数,ポテンシャル理論,スペクトル等について深い考察をおこなった.代表者によって得られた2次元散乱撞球の力学系ゼータ関数の有理型接続や1次元一様拡大力学系の摂動に関する結果は,これらに深く触発されて得られた結果であることはいうまでもない. なお,以上の成果は各分担者によって専門誌に投稿され,その幾つかはすでに掲載または掲載予定となっている.
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10640105