アサヌマ タケシ   ASANUMA TAKESHI
  淺湫 毅
   所属   追手門学院大学  文学部 人文学科
   職種   教授
研究期間 1992~1993
研究課題 法隆寺献納宝物と正倉院宝物の源流に関する調査研究-とくに東南アジアに遺存する彫刻・工芸作品を中心に-
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 国際学術研究
研究機関 東京国立博物館
代表分担区分 研究分担者
研究者・共同研究者 奥村 秀雄,鈴木 恒之,ニコム ムシガカマ,関根 俊一,木村 法光,高橋 隆博,岡田 健,小笠原 小枝,淺湫 毅,今井 敦,伊藤 嘉章,松本 伸之,加島 勝,澤田 むつ代,加藤 寛,浅井 和春,大隅 晶子,PICH Keo,東野 治之
概要 1.実施した調査研究の内容 本研究の最終年度にあたる今年度は、以下のような調査研究を行なった。 (1)文献史・資料および写真資料等の整理 本年度の訪問地(タイ・ベトナム・インドネシア)に関する関係作品、制作技法、材料等について、前年度に引き続き、国内外の関連史資料を収集しカード化して整理した。 (2)現地調査(訪問先の詳細は調査研究実績の項に記載) 現地調査は、A〜Eの5班に分かれて実施した。各調査とも現地で可能な限り詳細な調書を作成し、併せて写真撮影(制作技法に関してはビデオ撮影も援用)を行なった。 A班-彫刻、金工の各分担者で構成。タイとインドネシアの各国立博物館及び関連遺跡、寺院において調査研究を行なった。 B班-陶磁の分担者で構成。インドネシアの各国立博物館及び関連遺跡において調査研究を行なった。 C班-漆工の分担者で構成。タイとベトナムの各国立博物館及び作業所において調査研究を行なった。 D班-染織の分担者で構成。タイとインドネシアの各国立博物館及び作業所において調査研究を行なった。 E班-交渉史の分担者で構成。インドネシアの各国立博物館及び関連遺跡において調査研究を行なった。 (3)現地調査資料の整理と考察 (2)の現地調査で得られた調書、写真資料等をカード化して整理し、(1)で得られた史資料と比較検討しながら、各班ごとに考察を行なった。 (4)研究会 毎月1回、日時および発表者を定め、各分野の研究成果の報告ならびに現地調査にむけての情報交換を行なった。 (5)外国人研究分担者の招聘 タイ国芸術局次長ニコム・ムシガカマ氏を招聘し、奈良・正倉院事務所、奈良国立博物館、東京国立博物館および関連諸機関を訪れ、法隆寺献納宝物・正倉院宝物とその関連遺品を調査し、タイ国内の遺品との比較検討を行なった。 (6)研究総括 研究分担者全員の参加により、2年間の調査研究の総括を行ない問題点を検討するとともに、調査研究成果を報告書にまとめて公開した。 2.新たに得られた知見 (1)彫刻関係では、タイとインドネシアの国立博物館や寺院に所蔵される石仏、金銅仏、押出仏、セン仏のなかに、法隆寺献納宝物中の金銅仏や押出仏の様式的源流となる遺品を多数見いだすことができた。(2)木漆工関係では、正倉院宝物の漆胡瓶との関連で前年度に引き続き、タイの籃胎漆器の巻き上げ技法の解明に努めたほか、ベトナムにおいて両宝物中の螺鈿技法との関連性が注目される作例を見いだした。(3)染織関係では、タイにおいては前年度同様、両宝物中の広東裂と密接な関わりをもつ多色の絣織の調査研究を深め、さらにインドネシアの中部ジャワを中心に両宝物中の 纈染との関連で見逃せないバテイックの制作過程の詳細を記録した。(4)金工関係では、ジャカルタ国立博物館でインドネシア中部ジャワのウオノボヨやウオノソボ等で発見された8〜9世紀に遡る数百点にのぼる膨大な金銀および青銅製品を前年度に引き続き調査し、とくに水瓶、鋺、合子および香炉等の制作技法には両宝物中の仏具の制作技法と密接な関連性があることがあきらかとなった。(5)交渉史関係では、前年度に文献史的側面から足がかりを固めたシュリーヴィジャヤ王国の建国地と推定されるインドネシア・スマトラ島パレンバン付近の現地調査を行ない、プレ・ヒンドゥー期の巨石文化やシュリーヴィジャヤ王国期の可能性もあるヒンドゥー・仏教並存期の遺跡などに関する史資料を収集した。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-04041105