アサヌマ タケシ   ASANUMA TAKESHI
  淺湫 毅
   所属   追手門学院大学  文学部 人文学科
   職種   教授
研究期間 2002~2003
研究課題 近世日本と中国・東南アジア・琉球で出土・伝世した工芸品に関する製作技法の比較研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 特定領域研究
研究機関 独立行政法人国立博物館京都国立博物館
代表分担区分 研究分担者
研究者・共同研究者 久保 智康,永島 明子,山川 暁,尾野 善裕,菊池 誠一,淺湫 毅
概要 久保は、中国・北京と福建省福州、泉州、厦門の博物館、古美術店に伝来する明、清代の金工品を調査した。中国独自の彫金技法・意匠が、華北と福建で共通して見られ、その一部が南宋まで遡ることが判明した。琉球の遣使が入国し、また日中交易の拠点でもあった福建では、日本の銅鏡、刀装具などがいくつも発見でき、意匠・彫金技法に日本と近い飾金具を装着した家具もあって、影響関係の強さがうかがえた。なお琉球製の金工品の伝存が予想され、該当しそうなものも見られたが、中国製品と識別するには至らなかった。 尾野は、連合王国ロンドンのデビッド財団中国陶磁コレクションの調査を行った。陶磁器の編年的研究の上で重要な意味をもつ紀年銘資料が多数あり、中国から日本へ伝播した陶磁製作技術の起源を探ると同時に、その技術の年代観についても知見を得た。 菊池は、ベトナム・ハノイ市のベトナム歴史博物館で、フランス極東学院により収集された資料中の日本近世陶磁器を調査した(ハノイ国家大学の協力を得た)。また同国ホアビン省博物館では、碑文のある墓から出土した近世日本陶磁器を調査した。これらから、陶磁器が日本でいつ製作され、輸出されたのかなどを知る基礎資料を得た。 永島は、台湾故宮博物院で、清朝皇帝の蒐集品収納用の多宝格中に含まれる江戸時代の日本製蒔絵を調査した。17世紀末から18世紀初頭にかけ輸出されたとみられ、蒔絵工房の供給のありよう、漆器貿易に中国商人の果たした役割を考える上で有益な情報を多数得た。 山川は、沖縄本島、本部町個人宅に伝わり、今帰仁阿応理屋恵(琉球の高級神女)所用とされる草花文様刺繍大袖衣を調査した。個々のモチーフは日本の室町〜桃山時代の繍箔と共通し、一つの植物文のみ、阿母知良礼着用の花鳥刺繍大袖衣(沖縄県博蔵)に近似するものであった。両地域の影響を強く受けつつも琉球で製作された作品と結論づけられた。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-14023246