リ カ   LI XIA
  李 霞
   所属   追手門学院大学  共通教育機構
   職種   准教授
研究期間 2018/04~
研究課題 グローバル化に対応する「社会に開かれた」幼児教育課程の開発的研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 若手研究
研究機関 滋賀短期大学
科研費研究課題番号 18K13078
研究者・共同研究者 李 霞
概要 グローバル化の進展に伴い、近年、アジア諸国では新たな動きとして、幼児教育段階から国際意識の育成に加えて、身近な地域、社会での生活とのつながりに焦点を当てた教育活動が進められてきた。こうした中、日本においても、平成30年度から全面実施となった幼稚園教育要領においては、幼児の国際理解の意識の芽生えを培いながら、とりわけ地域、社会とのつながりを問う「社会に開かれた教育課程」の推進が重視されている 。 「社会に開かれた教育課程」の円滑な推進のために、教育課程の編成及び実施において、子どもたちの姿や地域の現状に対する配慮、並びに地域の人的・物的資源をどう活用していくかなどに対する検討が必要であろう。新しく動き出した日本の幼児教育改革に示唆を与えるべく、本研究では、アジアで関連する先進的な取り組みをいち早く進めてきたシンガポールに注目し、そこでの幼児教育課程編成及び実施における「地域資源利用」に対する構想と実態の究明を試みるために、教育政策文書についての分析に加えて、フィールド調査で得たデータを基に分析を進めた。 その結果、シンガポールの幼児教育課程編成及び実施においては「地域資源」が大いに利用されている実態が判明した。また、この「地域資源」とは、単なる地域にある物的資源・場所としての空間的資源だけではなく、人的資源や文化、イベントなども広く含まれていることが明らかとなった。何より、「地域資源利用」という側面に注目した際には、①政府によるサポート体制が確立されていること、②コミュニティによる協力態勢が整えられていること、③保護者は教育活動に参加し、協力する実態があることが判明した。これらの点は、地域社会とともに人材育成を担っていこうとする「社会に開かれた教育課程」の推進を目指す日本に、有意義な示唆を与える点といえよう。