モリタ タケヒコ
Morita Takehiko
盛田 健彦 所属 追手門学院大学 理工学部 数理・データサイエンス学科 職種 教授 |
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研究期間 | 1993~1993 |
研究課題 | 力学系における確率現象の解析的研究 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 一般研究(C) |
研究機関 | 大阪大学 |
研究者・共同研究者 | 盛田 健彦,山崎 洋一,平地 健吾,山根 宏之,磯崎 洋,井川 満 |
概要 | 有限生成第一種フックス群に付随した一次元力学系の時間発展を確率過程とみることによって、中心極限定理および局所極限定理を証明した。更に、このとき中心極限定理に現れる極限分散が非退化となる十分条件を力学系の軌道の性質を用いて表すことに成功した。この結果の幾何学的応用として、有限面積リーマン面上の向き付けられた閉測地線が数論における素数定理の類似をみたすことを導いた。 上のリーマン面の場合には閉測地線が丁度測地的流れという力学系の周期軌道であるのだが、周期軌道の分布について素数定理の類似の成立が期待されながらも、その証明が得られていないいくつかの力学系に対して我々の方法を試みた。その結果、撞球型の力学系に関して次の中間的成果を得た。まず、ポテンシャル域が互いに素な複数個の非負値中心力場の中を運動する質点を記述する力学系の周期軌道について、摂動撞球への帰着によって素数定理の類似を検証できた。次にシナイの撞球と呼ばれる古典力学のエルゴード問題で重要な力学系に関しては、測度論的に十分大きな部分系が存在して素数定理の類似を満たすということが示せたにすぎず、最終結果まで至れなかった。これはマルコフ分割を用いた符号化がこれまでのようにうまくいかなかったことに原因が有り、この技術的な問題を解決するのはこれからの課題の一つである。 これらの研究と並行して分数次元の相空間をもった力学系との関連でフラクタル上の拡散過程の推移確率密度の解析や、高次元の力学系の系統的研究の基礎として複素解折的な研究を行ない若干の結果を得た。 |
PermalinkURL | https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05640261 |